再生治療に用いるエムドゲイン、リグロスとは

こんにちは!せきれい歯科クリニックの院長 太田です。

今回は、重度歯周病での再生治療に用いる材料についてお話しします。
歯周病とは、歯と歯の隙間や歯周ポケット内に多く生息する細菌によって引き起こされる炎症性疾患です。進行状況により軽度、中等度、重度に分類されていますが、重度にまで進行すると歯ぐきや歯を支えている歯槽骨が失われてしまいます。失われた歯周組織の回復を促す手術を「歯周組織再生療法」といいますが、このときに用いられる材料に「エムドゲイン」「リグロス」などがあります。

〇再生療法の必要性
歯周病の進行とともに、歯を支えている骨が失われ、歯ぐきが下がります。歯周病の基本となる治療は患者様ご自身によるセルフケア、歯科医院での歯石除去などの処置を行いますが、これらの処置では失われた骨や下がった歯ぐきをもとに戻すことはできません。そこで行われるのが、再生治療です。再生治療では骨や歯ぐきの再生を促し、組織を修復することを目的としています。失われた骨が回復すれば、下がった歯ぐきも戻るため、見た目の改善も期待できるのです。これらの再生治療は、高度な知識や技術を要するため、どこの歯科医院でも受けられる治療ではありません。また、健康保険の適用外で自費診療となります。

〇エムドゲインを使用した再生療法
「エムドゲインゲル」とよばれる薬剤を塗布することで骨の再生を促す治療を、エムドゲイン療法といいます。エムドゲインゲルは「エナメルマトリックスデリバティブ」というものが主成分となっており、これは歯が生えるのに必要なたんぱく質の一種です。これを骨を再生したい箇所に塗布することで、不溶性たんぱく質のマトリックス(細胞と細胞の間を埋める物質)を形成します。このマトリックスが歯の根の表面に一定期間とどまり、細胞の増殖と分化を繰り返すことで徐々に歯周組織を再生します。エムドゲインゲルは世界40か国以上で使用されている安心・安全な生体材料ですので、ご安心ください。

〇エムドゲイン療法の適用と、治療の流れ
エムドゲイン療法は全ての症例に適応ができるとは限りません。歯を支えている骨が一部分のみ失われている症例で主に行われます。治療は下記のような流れで行います。

  1. 局所麻酔の処置後、歯ぐきを切開する
  2. 歯の根を露出させて、歯周基本治療で取り切れなかった歯石を除去し、根面をきれいにする
  3. 骨が失われた部分にエムドゲインゲルを塗布する
  4. 切開した歯ぐきを縫合する(必要に応じて約1週間後に抜糸を行う)

〇リグロスを使用した再生療法
bFGFとよばれるヒト成長因子を用いて骨の再生を促す治療を、リグロス療法といいます。治療の原理はエムドゲイン療法と同じで、骨が失われた箇所に薬剤を塗布することで、歯周組織の回復を図ります。エムドゲイン療法との違いは、薬剤に使われている成長因子です。エムドゲインよりも後から開発された治療方法ですが、リグロス療法は2016年から健康保険が適用できるようになりました。

〇リグロス療法の適用
リグロス療法も、全ての症例に対応できるとは限りません。「垂直性骨欠損」とよばれる、歯の骨に沿って垂直的に骨が失われている場合に適用されます。これにはリグロスの薬剤の形状が関係しています。リグロスの薬剤は液体状であるため、その薬剤が外に流れ出ることなく患部にとどまってくれることが予想できる場合に、使用することができます。そのため、治療を検討する際には、リグロス療法が適用できるかどうかを判断するために入念に検査を行います。治療の流れは、エムドゲイン療法とほぼ同じです。

〇まとめ
今回は、エムドゲインやリグロスを用いた再生療法についてご紹介しました。全ての症例に対応できるとは限らないため、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

当院では、経験豊富な歯科医師が患者様の全身の健康を考えてお一人おひとりに合わせた歯周病治療に努めております。生活習慣の改善や歯磨きの仕方についてのアドバイスも行っておりますので、歯周病の予防と治療は当院にお任せください。

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